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ネック・ボディの品質って?? ~MJTボディにUSACG製が登場します~

以前に、こちらのブログでも紹介したのですが、世紀のお引越し(勝手に名付けました)をしてMJTの傘下に入ったUSACG。

 

これまでは、MJTは自社のボディを他のメーカーに製造依頼していた(カリフォルニアのWildwood社)のですが、USACGを傘下にしたことで、元となるボディも自分たちで生産できるようになっています。

 

そんな中、先日SPOONにもUSACG製のMJTボディがいくつか入荷しました!

 

ボディの質は、Warmothにも引けを取らないという評判のUSACGでしたが、これまで僕(SPOONのイマムラ)は触れる機会がありませんでした。品質にムラがあるとかないとかいうネットの情報もありましたが……。早速チェックします。

 

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いきなり話が逸れます(いや、本題か!?)が、僕はこのボディやネックの「品質」というものをどのように評価していいものか少し判断に困っています。「音がいいもの」なのか「加工の精度が高い」のか「不良品が少ない」のか「仕上げが良い」のか……。

 

 

①「音が良いもの」

僕は、ギターの音の良さは、塗装も含めて他のパーツと合わせて組みあがって初めて判断できるものと信じているので、素の木の段階でそれを決めるのは得策じゃないと思っています。

もちろんトーンウッドとしての素質が良いものもあるでしょうが、パーツだけを売っているメーカーは音色の素質の良し悪しでパーツを選別したりはしないようです。それよりも、重さ・木目といった目に見えて分かるものが優先され、選別されます。

フェンダーやGibsonなどの、自社でギターのグレードが何段階にも分かれているようなメーカーは、音色の素質での選別をしているかもしれません。いいものはCustom Shop行き、イマイチなのはカタログモデル行き、みたいに。

 

②「加工精度が高い」

これは、形状はほとんどのブランドがコンピューターで操作するCNCルーターを使っている(はず)なので、各社同等です。ただそのプログラミングの数値は各社それぞれなので、すこーしずつ形状に差(エッジの角度やポケットの深さなど)がありますが……。

 

③「不良品が少ない」

これは、少しづつ差がありそうな点です。明らかな加工ミスや木の割れとかいう不良品は論外ですが、「木の節がある」とか「少し傷がある」などということがあるメーカーはあります。これは不良品というよりも、どこまで検品で『はじく』か、という基準が緩いか厳しいかの差のように思います。

 

④「仕上げが良い」

これは比較的わかりやすいのですが、良く研磨されていて木の毛羽立ちが少ないなど、見た目・触り心地でわかる点。そしてキャビティのつくりや、ガイド穴の状態などがメーカーにより違いがあります。

 

ということは、①②は判断が難しいということであるならば、自分が「質が良い」というときは③④のことを言いたいと思います。 

 

 

でも、これってたくさんのメーカーからある程度の台数を入荷しないと判断できないですもんね。

普通のユーザーが買うボディやネックは、多分片手で足りてしまう数字なはずです。

初めて購入したブランドの一発目が不良品だったら、そこのものはもう「質が悪い」ってことになります。

逆にずっと『あたり』だったら、そのブランドはいいメーカーになるわけですよね。

だからまあネットのレビューなんかがあって、平均値を出すわけですが。

 

そういった意味でも③④の評判がいいところのものが、失敗は少ないということになると思います。

ですから、それを「質が良い」と言ってもよさそうですよね。

 

まあ、③はギャンブル的要素もあって、グレードの区別もしていなかったりするブランドだと、普通のメイプルネックを頼んだはずが、いきなりバリ虎のネックがやってきたりすることも(たまーにたまーに)あります。

そういうムラのあるブランドは、その分価格的にも手ごろなことが多いようです。

 

 

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話を戻して、USACG製MJTボディを見てみると、自分の見た限りではこれまでのWildwood製のボディと大きく違いはなさそうな印象です。

違いでいうと、今回入荷したものも含めてですが、WildwoodよりもUSACGの方がモダンスペックのボディが多いです。

Wildwood製ボディのほとんどがFenderのビンテージスペックのボディだったのに対し、USACG製のボディはリアルート(ボディバックにコントロールキャビティがある)のギターが得意で、エキゾチックウッドのトップ材を使い、ピックガードレスを想定した作りのものも多いです。

 

ビンテージフェンダータイプのオーダーボディはこれまで同様Wildwood社に依頼しているようなので、MJTとしても二社の二本立てで生産を続けていくようです。

 

これまでのフェンダー系ボディとはまた違ったタイプのレリックボディが入荷することで、バリエーションが豊かになると思います。

 

一つだけ言わせてほしいのは、バックキャビティの蓋は標準装備にしてほしい……。(別売りなんです……。)

 

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ちなみに、は判断しかねるといいましたが、MJT製のボディは組み上げても良く鳴ることが多いのです。

それは、塗装の問題ではないかと僕は思っています。木自体の鳴りを損なわない100%ニトロセルロースラッカー(という触れ込みです)で塗装されたボディは、硬く、カンカンと乾いた音がします。

それは今回のUSACGボディもそうでした。

分厚い塗装の他社のボディではそうはならないことも多くあります。

もしかすると、塗料以外の塗装方法や工程など、自分が知らない部分でMJTのボディが良く鳴る理由があるのかもしれません。

 

 

に関しては、自社でパーツを生産していないブランド、特にディーラーのみに卸売りをしていて一般ユーザーに直接販売をしていないブランドに、良くないことが多いです。

一般ユーザーは、その部品を自分の楽器として使いますから、一番厳しいお客さんです。逆にディーラーは、所属している人間も一人じゃないですし、その部品を自分では使いませんので、どうしても判定が緩くなりがちに思います。

一般に小売りしているブランドのものは、比較的ムラが少ないように思います。

 

 

に関しては、個人的にはWarmothが一つ頭を抜いているように感じます。

というのも、研磨の細かさが他のブランドよりも滑らかで、ストラトのジャックホールはプラグが木部に干渉しないように少し奥行きがあるように加工されています。シンクロトレモロのハンガー用の穴(これが結構面倒!)もあらかじめ開いていたりと親切です。

他のブランドでそこまでやっているところは自分は知りません。裏ブタもついてきます。

 

 

WarmothのパーツをMJTで塗装する、というのがBESTなパーツの選択だと今のところ自分はそう思います。(その分高くなってしまうけど……!)